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半導体の材料

半導体の材料というと、 一般的にはシリコンというイメージがぁります。シリコンそのものは導体と不導体(絶縁体)の中間にある「半導体」という性質をもっています。

しかし、実際にはシリコンだけでは半導体は作れません。 ハフニウムやクロム、タングステンなどのレアメタルのほか、半導体内部の配線にはアルミニウムや銅などが使われ、リードフレームと半導体をつなぐためには金が必要ですし、パツケージングではエポキシ樹脂などが必要になります。半導体にはシリコン以外にもたくさんの貴重な材料が使われているのです。

さらに半導体を作るためには、半導体そのものにはならないものの、製造工程のなかで必要になる材料がたくさんあります。料理で例えるならば、パスタをゆでるための水のようなものです。スープとして水そのものを飲むことはありませんが、パスタに火を通すためには水という媒介は欠かせません。半導体でもこのように、材料として使われても半導体の中には残らないものが数多くあります。例えば薄膜に塗布されるフオトレジストのフェノール樹脂はエッチングによって取り除かれて半導体には残りません。エッチングに使われるガスには六フッ化硫黄(SF6)や四フッ化炭素(CF4)などのフッ素系ガスが用いられますが、これらはエッチングエ程で薄膜を取り除いたあと、 一緒になくなってしまいます。

加えて半導体の生産に欠かせない半導体製造装置に必要な材料もあります。料理で例えるならば、鍋やフライパンに使う鉄や、火を起こす燃料のようなものです。露光の際にエキシマレーザーなどを使用しますが、このレーザー発生装置にはネオンやアルゴンなどの貴ガスが用いられます。ダイシングでウエハーを切る際に使用するダイヤモンドや、超純水なども半導体の製造に必要な材料に含めることができるでしよう。

このように半導体の製造には、非常に多くの種類の希少な材料を必要とします。そのため、材料の産出地や加工する工場は世界中に点在しています。例えばシリコンの主要産出国は中国やノルウェーですが、シリコンウェハーは日本や韓国、台湾などで多く作られています。薄膜材料に使われるレアメタルはロシアをはじめさまざまな国で産出され、米国などで加工されます。

また露光などの工程で用いられるレーザー発生装置に使うネオンは、ウクライナなどで産出されています。

日本企業は半導体材料の分野においても強い存在感を示しています。前ページの図を見ても分かるとおり、特にフオトレジストや特殊材料ガスなど液体・気体材料で高いシェアを誇ります。品質にこだわり現場での改良を続けてきたことが、ノウハウの蓄積につながったのでしょう。

半導体の材料には製造工程で使われる材料が多く存在し、それらは世界中で作られて半導体の生産地に輸送されているのが半導体産業の大きな特徴です。グローバル化した現在、自動車や樹脂製品などほかの工業製品においても世界中に材料の産地や加工工場が散らばっており、最終の組立工場に集約されてくることには変わりありません。しかし特に半導体製造においては、製造に非常に多くの希少な材料を必要とし、サプライチェーンが世界中をくまなく巡っているという構造があることを理解しておかなければいけません。